「猫のウィスカーパッド」と聞いて、どの部位を指すのか分かりますか?名前自体は聞いたことがなくても、鼻と口の間にある「ω」の形をした部分といえばわかる方も多いでしょう。このウィスカーパッドは猫のかわいさを象徴するような部位でもあり、多くの猫の飼い主が魅了されています。
しかし、そんなウィスカーパッドも、普段と様子が違うと感じることもあるかもしれません。
この記事では、猫のウィスカーパッドの構造や役割、そして、ウィスカーパッドが膨らむ理由について解説していきます。
この記事の目次
猫のウィスカーパッドの役割
「ウィスカーパッド」は猫の鼻と口の間にあるひげが生えている部分のことで、猫のチャームポイントとしてもおなじみです。「ウィスカー(Wisker)」には「ヒゲ」という意味があり、直訳して「ひげ枕」や「ひげ袋」と呼ばれることもあります。
構造と役割
ウィスカーパッドには、たくさんの長いひげが生えており、それぞれのひげは1本1本が個別に支えられています。ひげの根元の部分には、液体で満たされた袋状の構造である「環状洞」と呼ばれるものがあり、周辺には血管や神経が豊富に存在しています。これにより、猫はわずかな振動や刺激をひげから感知することができます。
また、ウィスカーパッドに生えているひげは、さまざまな方向に動かすことができ、そこから猫の感情を読み解くこともできます。
- 下向き:リラックスしている時、あるいは体調が悪い時
- 上向き:嬉しい時
- 前向き:何かに興味を持っている時
- 後ろ向き:怖い・びっくりしている時(餌を食べる時、水を飲む時にも汚れないように後ろ向きになります)
ぜひ、愛猫のひげの向きを注視し、猫の感情を想像してみてください。
ウィスカーパッドとマズルとの違い
「マズル」とは、鼻先から口元周辺のことで、猫の顔を横から見た時に突出している部分全体を指します。一方で、ウィスカーパッドは鼻と口の間にあるひげが生えている部分のみのことです。
つまり、猫のウィスカーパッドはマズルの一部であり、マズルの方がより広い範囲を指します。
猫のウィスカーパッドが膨らむ理由
猫を飼っている中で、ウィスカーパッドが膨らんでいると感じたことはありますか?一時的なものであれば特に気にする必要はありませんが、長時間膨らみが戻らない場合は獣医師に相談した方が良い可能性もあります。
興奮している
猫は興奮した時や驚いた時に、周囲の状況をより詳細に感知するために、ウィスカーパッドを膨らませることがあります。
特に敵や獲物が目の前にいる場合には、ウィスカーパッドが膨らむことがよくあります。ねこじゃらしなどのおもちゃで遊んでいる時にも、膨らんだウィスカーパッドを見ることができます。
猫の性格によっては、1日に何度もウィスカーパッドを膨らませることもありますが、時間が経って元に戻るようであれば特に問題ないでしょう。
病気の可能性も
興奮していないのにもかかわらず、長時間ウィスカーパッドが膨らんでいる場合は、病気が原因で腫れている可能性も考えられます。
細菌感染や口内炎、アレルギーにより口元が腫れることで、ウィスカーパッドが膨らんでいるように見えることもあります。もし、長時間膨らんでいるように感じた場合は、動物病院を受診しましょう。
ウィスカーパッドのお手入れの仕方
猫のウィスカーパッドは特別なお手入れは必要はありません。ほこりやごはんなどが付着していたら、軽く拭き取ってあげる程度で大丈夫でしょう。また、普段のスキンシップの際にウィスカーパッドをよく観察しておくことで、単に興奮しているだけなのか、病気の兆候があるのかを判断しやすくなります。
なお、猫にとってひげは非常に大切な器官です。かわいいからといってウィスカーパッドを触りすぎてしまったり、ひげを切ったりするのはやめましょう。猫のひげには以下のような役割があります。
- 平衡感覚を保つ
- 空間を認識する
- 気流や湿度を探知する
- 感情を表す
ひげがなくなってしまうと、暗いところで動けなくなったり、物にぶつかりやすくなることもあります。お手入れのつもりでひげを切ってしまうと大きなストレスになりますので注意しましょう。
まとめ
ウィスカーパッドは猫の鼻と口の間に位置する部位のことで、猫のひげを支え、ひげから伝わってきたわずかな振動などを伝える役割を果たしています。
猫が興奮しているときはウィスカーパッドが膨らむことがありますが、一時的なものであれば特に気にする必要はないでしょう。しかし、常に膨らんでいたり触ると痛がるような様子が見られる場合は病気が疑われますでの、動物病院へ連れて行きましょう。
ウィスカーパッドはかわいくてつい触りたくなってしまうかもしれませんが、やさしく触れ、もし猫が嫌がるそぶりを見せたらすぐに触るのをやめましょう。また、絶対にひげを切ってはいけません!