アニマルウェルフェア,畜産,牛
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コラム

知っていますか「アニマルウェルフェア」③私たちにできること

ドッグトレーナーTerumi ドッグトレーナー

前回の記事では、アニマルウェルフェア後進国と言われる日本の現状を紹介しました。第三弾となる本記事では、日本の取り組みや私たちができることをご紹介します。

動物が好きではないという方も、動物の命をいただいている以上は関わりがあることです。今日からできることがないか、ぜひ考えてみてください。

日本の企業によるアニマルウェルフェアの取り組み

アニマルウェルフェア後進国の日本では、大手食品企業のアニマルウェルフェアに対する認識や対応レベルも非常に低いと世界的に評価されています。

しかし、日本企業や自治体でも少しずつアニマルウェルフェアへの取り組みを開始しており、認定NPO法人アニマルライツセンターが毎年実施している2022年度の「アニマルウェルフェアアワード」に選出された4つの企業をご紹介します。

アニマルウェルフェアアワード
畜産動物、水産動物のことを考え、アニマルウェルフェアへの取り組みをした企業を、日本の畜産動物を守る活動を行うアニマルライツセンターが選出しています。
https://www.hopeforanimals.org/animal-welfare-award/

1. 内閣府の食堂を運営する「株式会社ニッコクトラスト」


内閣府の食堂を運営している株式会社ニッコクトラストでは、食堂で提供する卵を、ケージフリーで飼育されているものに切り替えました

内閣府の食堂という、アニマルウェルフェアの重要性を認識し、影響を最大化できるであろう場所での取り組みも評価されています。

2. 『やまなしアニマルウェルフェア認証制度』を創設した「山梨県」


山梨県は、全国の自治体で初となるアニマルウェルフェアの認証制度「やまなしアニマルウェルフェア認証制度」を創設しました。これにより山梨県内のアニマルウェルフェア推進と共に畜産物のブランド強化を目指しています。

認証制度の創設はもちろん、認証基準も世界にも認められる内容となっている点などが評価されており、日本のアニマルウェルフェア発展に大きな希望が持てる取り組みの一つです。

3. アニマルウェルフェアへの取り組みを重要課題にした「日本ハム株式会社」


日本ハムはアニマルウェルフェアに配慮した事業を行うことを重要課題とし、基本原則である「5つの自由」を推進、この考えを踏まえた家畜の飼養管理、生産体制の改善、継続的な技術革新などを進めるとしています。

さらに、「アニマルウェルフェアに配慮した取り組みの推進」として以下のような具体的な目標を掲げています。

  • 2023年度末までに国内の全処理場内の係留所へ飲水設備の設置(牛・豚)
  • 2023年度末までに国内全農場・処理場への環境品質カメラの設置
  • 2030年度末までに国内の全農場の妊娠ストール廃止(豚)

4. 人と環境にやさしいお店づくりを目指す「TORIBA COFFEE」


TORIBA COFFEEを含め、都内を中心に飲食店を展開する株式会社バードフェザー・ノブでは、2020年にエシカルプロジェクトをスタートさせ、店舗の脱プラスチックや生ごみ削減など「エシカル化」を進めています。

その中でもTORIBA COFFEEでは、コーヒーショップとして地球への環境負荷をかけないためにできることをまとめた、「エシカル宣言15ヶ条」を2021年に出しました。そして2022年には、さらに10ヶ条を追加した「続・エシカル宣言」を発表しています。その中で、アニマルウェルフェアに最も関わりがあるものが21条です。

TORIBA COFFEE 続・エシカル宣言 21条
「牛乳はアニマルウェルフェアなもののみ使用します」
お店でドリンクに使用する牛乳は、乳牛を仔牛から親牛まで、自由な環境で育てられているもののみを使います

これに加え、お店では通常のミルクと植物性ミルクは同じ価格であるため、無理なくアニマルウェルフェアに配慮したものを選択できます。

TORIBA COFFEE Instagramより

私たちができるアニマルウェルフェア


日本がアニマルウェルフェア後進国から脱却するためにも、まずは私たちが意識を変えていかなくてはいけません。

手軽にできる「食」を通して、アニマルウェルフェア実現のためにできることをやってみましょう。

1. アニマルウェルフェアに配慮した商品の選択

アニマルウェルフェアに配慮した商品を選ぶことは大切な行動です。具体的には平飼い、放し飼い卵、放牧されている牛の牛乳、グラスフェッドという飼育方法で育てられた牛の牛乳・牛肉、放牧豚など、動物の生態に合わせた飼育環境で育った動物たちを購入するという選択です。

このような情報は商品のパッケージに書かれていたり、ネット通販であれば商品情報として記載されていることが多いため、購入前にチェックしてみてください。

グラスフェッドとは、牧草のみで育てる飼育方法です。グラスフェッドは放牧で飼育されており、エサは牧草や干し草のみで、野生と同じような環境で育てることを目指しています。牛たちはエサを探すために広大な土地で動き回るため、従来の飼育方法で育った牛よりも赤みが多く低脂肪な肉質をしていることから、健康志向な人からも注目を浴びています。

2. 認証マークのついた食品の選択


よりわかりやすく、アニマルウェルフェアに配慮した商品を選択する方法として「一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会」が付与している認証マークが付いた商品を選択することもおすすめです。

「一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会」は、アニマルウェルフェアの推進・普及を目的に設立され、ヨーロッパの制度などを基準に、アニマルウェルフェアに特化した独自の認証制度を設定しています。

この制度は、2016年に乳牛から運用を開始し、5つの自由を守り、各評価項目を80%以上クリアした農場に対して認証をしています。その認証された農場で育った家畜から生産された食品に、認証マークをつけて販売をしています。

認証マーク 一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会より

3. 植物性食品の選択


卵や乳製品、はちみつなどの動物性食品を一切口にしないヴィーガンとまでいかずとも、植物性食品を積極的に選択する方法もあります。最近ではプラントベースのお肉として大豆ミートなどをスーパーで購入できるようにもなってきました。

ここでは、具体的な大豆ミートの商品を紹介します。

マルコメ「大豆のお肉」


お肉のみならず、カレーや麻婆豆腐、ボロネーゼなど手軽に食べられるものもあるのが魅力です。

marukome HPより

大塚食品「ゼロミート」


手軽においしく植物性食品が食べられます。ソーセージやハムなどもあり、様々な料理に使えるのが魅力です。

大塚食品 HPより

伊藤ハム「大豆ミート」


「まるでお肉のような」おいしさの食感・味・香りにこだわって作られた大豆ミート商品が多くあり、おつまみの王道ジャーキーもあります。

伊藤ハム HPより

日本ハム「ナチュミート」


大豆特有の青臭さを軽減する独自の製法で、大豆ミートながらお肉のような旨味を再現した商品が複数あります。

日本ハム「ナチュミート」 HPより

イオン「Vegetive(ベジティブ)」


健康や環境に配慮し、毎日の食事の中で植物由来の食品を積極的に取り入れられるよう、肉、乳製品、白米、小麦などを植物性の素材に置き換えた商品が多数あります。

イオン「ベジティブ」 HPより

まとめ


企業や行政の取り組み、植物性食品の増加など、アニマルウェルフェア後進国である日本でも、少しずつ前進してきているというのを感じられたのはないでしょうか。日本は遅れているなあと思うよりも、今自分たちに何ができるかを考えるきっかけになればうれしいです。

今回見てきた畜産以外にもペットショップ、動物園、水族館、飼育されているペットなど、日本が抱えるアニマルウェルフェアの課題は多くあります。動物たちのために、自分たちにできることを見つけ、少しずつでも行動に移していきましょう。

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