愛猫がトイレを済ませた後に、ハイテンションになる様子を見たことがある飼い主さんは多いのではないでしょうか?何も知らないと、突然駆け回ったり鳴いたりする猫を見て驚いてしまうかもしれません。
これは通称「トイレハイ」と呼ばれており、猫によく見られる行動なのです。
なぜ猫はトイレの後に、興奮してしまうのでしょうか?今回はその理由を探っていきましょう。
この記事の目次
猫の「トイレハイ」とは
「トイレハイ」とは、排泄の前後に興奮した行動を取ることです。猫を飼っている方であれば、ご存知の方も多いと思います。
おしっこの時にはあまり起こらず、うんちの時によく起こることから「ウンチハイ」とも呼ばれているようです。
最もトイレハイが起こりやすいのはトイレの後のようですが、トイレの前や前後両方にハイテンションになる猫もいるようです。
猫のトイレハイの行動
トイレハイの際に猫が取る行動は様々です。以下はトイレハイでよく見られる行動の一覧です。
- 大きな声で鳴く
- 猛ダッシュで駆け回る
- 勢いよく爪とぎをする
- 高いところに登る
- 物に噛み付く
- トイレの砂を撒き散らす
この中でもよく見られるのは、大きな声で鳴く、ダッシュする、爪とぎをするですが、その他にも色々なパターンがあります。
猫がトイレハイになる理由【4つの仮説】
猫がトイレハイになる明確な理由はわかっておらず、いくつかの仮説が立てられています。その中でも有力な仮説を4つご紹介します。
【仮説①】ダッシュでその場を離れている
猫は野生時代、天敵やライバルに自分の居場所がバレないように、自分の縄張りから離れたところで排便をする習性がありました。
そのため、排便後は急いでその場から離れる必要がありました。
猫がトイレハイになるのはその名残だという説です。
【仮説②】無事に排便が終わり安心している
猫の排便にはマーキングの意味があります。しかし、排便をする際は無防備ですぐに動くことができないため、野生時代には常に天敵やライバルに見つかる危険が伴っていました。
そのため、敵に襲われることなく無事にマーキングができた、という安心感から嬉しくなってしまうという説です。
【仮説③】排便後は交感神経が活発になる
排泄前後の交感神経と副交感神経のバランスから、トイレハイを説明することもできます。
副交感神経が活発になると、リラックスし消化器官の活動が促進されます。一方で、交感神経が活発になると、体が様々な活動ができるようになります。
排便中は副交感神経が優位に働くため、猫はリラックスした状態にいます。
しかし、用が済むと交感神経が働き始めるため、テンションが上がり活発に動いてしまうのです。
【仮説④】トイレへの不満を表している
猫にとってトイレは自分のテリトリーを示す大切な場所です。
そのため、トイレが気に入らないと、その場からすぐに離れる、あるいは飼い主さんへ抗議のために、走ったり鳴いたりしている可能性があります。
トイレが汚れている、場所が変わった、人が来ていて落ち着いてトイレができないなど、猫がトイレに不満を表す理由はさまざまです。
猫がトイレへの不満を感じているようであれば、トイレ環境を一度見直してみましょう。
トイレハイではなく病気の可能性も
一見トイレハイに見える行動も、病気による違和感や痛みが原因の場合もあります。
トイレ中に痛がったり、猫の肛門が腫れていたりしたら、便秘や下部尿路疾患の可能性がありますので、動物病院を受診することをおすすめします。
便秘
猫は便秘が原因で、トイレ前に鳴くことがあります。これは、便秘になるとお腹の違和感や苦しさを感じるためです。
猫は、水をあまり飲まない、飲み込んだ毛玉が腸に詰まりやすいなどの理由から、便秘をしやすい動物だと言われています。
【対策】
便秘を解消するためには、水分と適度な食物繊維の摂取が大切です。
常に新鮮な水を用意し、水をあまり飲まない猫には、猫用のスープやウェットフードを与えるとよいでしょう。
食事が偏りがちな猫には、食物繊維をバランスよく含む、総合栄養食のキャットフードを与えましょう。
便秘が長く続くようでしたら、動物病院に連れていくことをおすすめします。
下部尿路疾患
下部尿路(膀胱から尿道の出口まで)に起こる疾患を下部尿路疾患と呼びます。具体的には、尿路結石や膀胱炎などがあります。
下部尿路疾患になると、排尿の際に強い痛みが生じるほか、血尿や頻尿、または尿が全く出ないなどの症状が表れます。
猫がおしっこの最中に鳴く場合は、病気が疑われるためすぐに動物病院に連れていきましょう。
【対策】
下部尿路疾患の予防には、水分の摂取が大切です。
常に新鮮な水を用意し、猫用スープやウェットフードなどの水分を含む食事を与えるように心がけましょう。
まとめ
このように、猫のトイレハイには、野生時代の名残や身体的な反応といった理由があると考えられています。そのため、トイレハイで駆け回ったり鳴いたりしている時は、様子がおかしくなったと心配する必要はありません。
ただし、トイレに対する不満を表していることもあるため、猫のトイレ環境が整っているかどうかは常に確認しておくと良いでしょう。
トイレハイではなく病気の可能性もあるため、普段から愛猫のトイレの様子をよく観察してあげてくださいね。